1. プランターにまいた種が動き出した朝
春の始まりに合わせて、プランターにラディッシュの種をまいてみました。袋に「20日大根」と書かれていたのを見て、育てやすそうだなと思ったのがきっかけです。まいた直後は、これでいいのかと少し不安になりましたが、4日ほどで小さな芽が顔を出しました。
双葉が出そろってくると、どこか均等に並んでくれていたのがうれしくて、毎朝ベランダをのぞくのが日課になりました。気温はまだ少し低めでしたが、陽の当たる時間が増えてくると、芽も少しずつ伸びてくる感じがありました。種をまいた深さや土の乾き具合が影響するのか、少し遅れて出てきた芽もありました。
この時期はまだ水のあげすぎに気をつけたい時期なので、指で触って乾いていたら軽くあげるようにしていました。芽が出るかどうかを見守る時間も、ちょっとした楽しみです。
発芽が揃いはじめると、小さな変化にも敏感になります。わずかな傾きや色の濃淡を観察するうちに、朝の光の入り方にも意識が向くようになりました。
2. 葉の重なりを見ながら間引きをすすめてみた
本葉が出始めた頃、株同士が近すぎるのが気になり始めました。どれも元気そうだったので抜くのが惜しくも感じましたが、ここは思いきって間引きをすることに。間引いたあと、土がぽっかり空いたように見えて一瞬不安になりますが、残した株は明らかに伸びやすそうな様子になりました。
初回の間引きは芽の間隔を2〜3センチくらいに整えて、さらに1週間ほどしてからもう一度、3〜4センチに広げました。葉の付き方を見ながら、左右にスペースが取れるようにしたのがよかったのか、そこから一気に葉が広がってきました。
間引いた若い葉も、捨てずにそのまま味噌汁に入れてみました。小さいながらもしっかり辛味があって、これはこれで立派な収穫だと感じました。
葉を少し残しながら間引くと、風通しもよくなって、土も乾きやすくなります。こうした変化が、育てる手応えにつながるように思います。
3. 小さな根のふくらみに気づいた日
種まきから3週間が過ぎた頃、株元をよく見ると、丸く膨らんだ赤い根が少しずつ土の上に見え始めました。葉に隠れていたので気づくのが遅れましたが、指でそっと触れると、たしかにふっくらと膨らんでいます。
この時期は、日中の気温が20℃を超える日もあり、ぐっと成長が早まってきた印象があります。水切れには注意しながらも、毎日ではなく2〜3日おきに軽くあげるくらいがちょうどよかったです。過湿にならないように、夕方には受け皿の水も捨てておきました。
収穫は25日目に決めました。葉が大きくなりすぎる前に抜いてみると、手のひらにちょうど収まるくらいの、つやのある赤い実が出てきてくれました。ひとつの種が、こんな形になるまでの時間を間近で見られるのは、なんだか特別な体験です。
ラディッシュは成長が早いぶん、観察のリズムも軽やかです。小さな変化が毎日続くことで、ベランダの空気にも自然と気持ちが向いていきました。