バイクガレージの隅に作るハーブコーナー

ガレージ

1. 無機質な空間に、ひと鉢分の“余白”を

工具や棚、タイヤの並ぶガレージの一角に、もし小さな植物があったらどうだろう。ふとそんなことを考えたのは、近所に住む友人のガレージを訪ねた帰り道でした。そこは整然と片付いていて作業性もよかったのですが、どこか“隙”がない印象で。余白というか、手を止めたくなるような何かがあったら、と感じたのです。

たとえば、動線の邪魔にならない角に棚を置き、腰の高さにハーブの鉢をひとつ。作業前でも後でも、軽く葉に触れれば香りが立ちます。もちろん、整備に集中したいときは意識の外に置いておける。そんなさりげない存在が、空間の印象を少し変えてくれる気がしています。

僕自身はマンション暮らしでガレージを持っていませんが、だからこそ、こういう余白の使い方にあこがれがあります。住まいとはまた違う“個人の場所”として、道具と植物が共存していたら素敵だと思います。

2. 整備と相性のいいハーブたち

提案するなら、多年草で強めの香りをもつハーブが扱いやすそうです。ローズマリーやタイム、オレガノあたりは、直射日光に強く乾燥にもある程度耐えるので、ガレージまわりの環境にもなじみやすいはずです。剪定もしやすく、放っておいても大きくなりすぎることはありません。

ローズマリーは枝がしっかりしていて、立てて育てれば場所もとりません。香りが立ちやすく、剪定した枝を吊るしておけば自然なアロマにもなります。タイムは葉が小さく、やや控えめな見た目ですが、手を近づけるだけで濃厚な香りが広がります。作業中の空気にふと混じる香りが、ちょっとしたリセットになってくれるでしょう。

育て方も難しくありません。週に1〜2回の水やりと、日当たり・風通しを意識する程度で、状態は安定します。剪定した葉はそのまま室内に持ち帰って、料理や風味づけにも使えます。こうした“二次利用できる植物”という点でも、ハーブはガレージ向きだと感じます。

3. 香りがあると、少し気持ちが変わる

ガレージといえば、無機質で機能性重視の場所というイメージが強いかもしれません。でも、整備の合間にひと息入れる瞬間や、オイルのにおいが残る空気のなかで、ふと香るハーブの存在があるだけで、気分が少し整います。空間全体を飾る必要はありません。ほんのひと鉢だけで十分です。

もし床に直置きするのが気になるなら、棚にトレーを敷いて鉢をのせる方法もあります。壁際に引っかけられる金具付きプランターを使えば、空間を圧迫せずにグリーンを取り入れられます。必要があれば、すぐ場所を動かせる軽さも大事かもしれません。

整備に使う道具と、葉の柔らかさが並んでいる景色。それだけで、ガレージが少し「居場所」に近づく気がします。手を動かすことに集中したあと、最後にひと呼吸。香りのある場所としてのガレージも、いいものだと思います。